今日で26歳

今日で26歳。
朝起きて、スマートフォンを確認すると友達や学生時代の後輩から複数のLINEが来てた。
彼からの連絡はない。
昨日の夕方に返信をしてから、既読も付かず、連絡もない。
丁度10日前は彼の誕生日だった。
私は朝起きて誕生日の祝福LINEを送った。送ったのに。
もう分かっていたけれど、女が記憶することと男が記憶することは重点が違う。
大切にしたいポイントも違う。
分かっていたから、連絡がこなくても気にしないと前から心に決めていた。
決めてはいたけれど、どこかで期待してしまう。
スプーン1杯分の期待。そこに女は期待し、掛けている。
私もスプーンで掬った1杯分の期待をずっと見つめ、溢れないまま、
願わくは私の口の中で甘い味になることを願った。
だけど実際は昼を前にしても彼からの連絡はなかった。
そうなるとスプーンはそもそもなかったも同然の心境になる。
嫌われたのか、どうでもいいのか、飽きたのか。
なぜなら私と彼の間には"恋人"や"婚約者"といった関係性を表す言葉がないからだ。
あえて言うならば、"セフレ"だろうか。
冷静になればセフレから誕生日に連絡が来るわけない。
恋人ではなく、セフレなのだから。
だけど、女はこの宙ぶらりんな関係に際も期待してしまい、幸せを夢見るのだ。

私は実家へ向かう新幹線の中。
ようやく彼から連絡が来たが、私の誕生日とは全く関係ない話。
分かっていた、それでも期待していたものとは違ったことに気を落とす。
これまでも気を落とすたび、これで最後。
この関係に先はない。そう言い聞かせる。もう何度もした。
それでも彼から離れられない。
離れようとした時にやってくる優しさに私は溺れているのだ。

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